よく 28(ニッパチ) は暇だといいますが ・ ・ ・
暇なので “Rest Time” を続けて投下します。
ちょっとマニアックな話しになりますがご了承願います。
ということで峠道に目覚めた私は、その後も暇さえあればその峠道に足繁く
通いました。
何度も走っていくと段々と欲が出てきます。
『 もっと速く走りたい!』
『 もっと速くコーナーを走りたい!』
『 もっと速くコーナーを抜けたい!』
でも所詮自己流です ・ ・ ・
自分でもギクシャクしているのが解ります ・ ・ ・
当時はインターネットなんてものはありません ・・・・・
でも現在からは想像もできないでしょうが、当時は空前のバイクブームでした。
ピークの1983年には328万5000台ものバイクが売れた程でした。
ちなみに近年のそれは30万台程度ということを伺えば、如何に当時のブームが
凄かったことがお分かりかと思います。
ですからバイクに関する書籍は数多の如くあり、必然的にバイクの乗り方に関する
ものも数多くあり、私はそこから情報を得ようとしました。
まず基本のバイクに乗る姿勢です。
① バイクの両端のステップに乗り、脇を締めそのまま真下に座る。
② 左ステップの前部にシフトレバーがあるが、これを足の甲に乗せない。
(コケた時、ステップとシフトレバーの間に足が挟まって抜けなくなる恐れがある)
③ 右ステップの前部のリアブレーキには、足を乗せておく。
④ 両ひざを軽く燃料タンクを挟むようにして座る。
(所謂ニーグリップです)
⑤ 視線は出来るだけ遠方にする。
(実際運転すると視線が手前になりがちになります)
⑥ 左手のクラッチレバー及び右手のブレーキレバーには、操作時以外は手を掛けない。
(常に手を掛けていると、咄嗟の操作に支障をきたす)
※ あくまで基本で、全部が絶対に正しいという訳ではありません。
次はコーナーリングフォームについてです。
基本的にコーナーリングフォームについては4つあります。
① リーンウィズ
全てのフォームの基本で、身体をバイクと同じ角度に傾け、頭の位置は
ステアリングヘッド延長線上にある。
バイクのセンターにライダーの重心がくるのでタイヤの接地感がつかみ
易く、いろいろな操作もやりやすい。
② リーンイン
バイクの傾きに対して上半身がイン側に入ったフォーム。
ライダーの重心をイン側にずらすことで、車体をあまり寝かさずに曲がれる
効果があります。
悪路などでスリップする危険性を減らして曲がったり、車体を起こしながら
加速したい場合などに有効ですが、頭がコーナーのイン側になる分視界が
悪くなるのが難点です。
③ リーンアウト
バイクの傾きに対して上半身をアウト側にずらしたフォーム。
コーナーのアウト側へ頭を動かせるので、コーナーの先の状態が見やすい
姿勢です。
視界が良くブラインドコーナーに有利で、車体を寝かせてコンパクトに曲がれる。
また、低速でも車体を大きく傾かせることができるので小回りがしやすい。
ただしタイヤの接地面が少なくなりスリップし易く、またハンドルをこじりやすい
のが難点。
④ ハングオフ(ハングオン)
頭の位置はセンターが基本で、バイクに対して腰を大きくイン側に
落としたフォームです。
自身の重心をカーブの内側方向の低い位置に移動させることで、
車体を大きく傾けなくても遠心力に拮抗させられるため、安定した
旋回が可能となります。
スポーツライディング向きですが、急な回避などは苦手ですので、
一般的な使用は避けた方が無難かもしれません。
ただし見た目は一番派手なので、峠乗りは殆どこのフォームで走って
いました。
尚、正式吊称はハングオフですが、日本ではどこかで誤認されハング
オンという吊称で一般化してしまったようです。
私も普通にハングオンと呼称していましたので、最初ハングオフと聞い
た時は別のフォーム吊と思っていました。
ということで、私もご多分に漏れず峠道では上記④のハングオンの習得を目指しました。
顔は常に路面に対して垂直にして、視線はコーナー出口の先にもっていきます。
面白いもので視線を奥にもっていくと、バイクは自然と向きを変えてくれます。
手前にもっていけば、手前のガードレールや山側の斜面に向って行きます。
視線は常にコーナーの先にもっていかなければいけません。
またハングオンで一番重要なのは、コーナー外側の足の使い方になります。
まずコーナーに入る手前で腰をイン側にずらします。
ここで気を付けないといけないのは、イン側の肩を落とし過ぎないことです。
そしてコーナーに入ったら、外側の足でステップに体重を乗せます。
内側のステップにはただ足を添えるだけです。
極端に言うと外側の足で体を支えるようなイメージでステップに乗ります。
所謂 “外足荷重” と呼ばれるものです。
これは横Gにより、バイクがグリップ力を失なわないようにすることが目的です。
傾いているバイクの外側のステップに荷重がかかり、地面に最も近い支点に重心バランス
を置くことができることで、横Gによるバイクのグリップ力を失うことを防ぐことができるのです。
特にレースなどではイン側に腰を落とすことでイン側の膝が開き、そのバンク角が大きければ
膝が路面に擦ることさえあります。
それをカッコ良く思う街乗りライダー達は、挙ってコーナーで膝を擦ろうとします。
所謂 “ムリ膝” と呼ばれたものですが、これは全く滑稽でした。
なにせプロと呼ばれているライダー達が速く走ろうとするために、結果としてコーナーで膝を
擦るのに対し、ムリ膝ライダー達は膝を擦ることが最終目的となっているからです。
そんなのはちっとも速くありませんし何より危険です。
前述の通りハングオンは急な回避などが苦手ですので、一般人にはコーナーリング中に何か
アクシデントがあったら、リカバリーすることはまず望めないでしょう。。
私も無理に膝を擦るようなことは求めず、ハングオン擬き程度から始めました。
あとは実践あるのみです。
それと同時にその峠道も徹底的に頭に叩き込んでいきました。
次にくるコーナーを想定しながら、一つ手前のコーナーの入りを色々と試して、速さを求める
というより、出来るだけ無駄なくスムーズにコーナーをクリアすることを目指しました。
そのため交通量が少ないとはいえ、出来るだけ対向車等の影響のない時間帯にその峠に
行くことにしました。
具体的には遅くとも夜明け前には峠に到着して、人々が動き始める7時くらいには峠を
後にしました。
その時間なら峠道は貸し切りでした。
対向車の心配もなく、万が一対向車が来てもまだ暗いのでヘッドライトで分かります。
こうして峠を登っては降り、降りては登りを繰り返しました。
走っている最中はシートに座ること殆どありません。
2時間も走れば外足の踏ん張りで足はパンパンになります。
今思うと本当に若かったなあと思います。
暗いうちは私以外はまずここを走る人はいませんでしたが、明るくなると時々他の
ライダーに出会います。
当然こんな時間に来るのですから、殆どが “走り屋” です。
そんな時私はまず彼等を先に行かせます。
そして後から追うように付いて行きます。
後ろから見ていると色々なことが分かります。
どの辺りでブレーキを掛けるのか、どこまでスピードを落とすのか、クリッピングポイントは
何処なのか等々の走りに関する情報をみていきます。
自分より優れていると感じたら、それをトレースして自分にも出来るか試します。
今考えると所詮公道レベルのことなのに、何を知ったようなことをしていたんだろうと
本当に恥ずかしいことですが、兎に角当時は一端の走り屋のつもりでいました。
ちょっとマニアックな話しになってしまいましたが、バイクとの付き合いはまだまだ続きます。
続きは次の機会にまたお話ししようと思います。